*字型のエンジニアを気にすることはない
- 2018-02-08記載
2018年2月に,工事担任者DD3種の資格者証が届いた. 振り返ると,電気通信系は以下の資格を持っている.
- 電気通信主任技術者(伝送交換)
- 第二級陸上特殊無線技士
- 第二級海上特殊無線技士
- 第三級アマチュア無線技士
- 工事担任者DD3種
- .com Master ADVANCE ダブルスター
こうしてみると,レベルはともかく,電気通信系では,私はT字型エンジニアに到達しつつあるのかも知れない. (ただ,電気通信主任技術者は,専門性と言うより範囲が広いので,T字型とは言えないかもしれないが...)
制御分野の片隅で,ソフト開発で飯を食うようになって28年経って,やっとこ,狭い分野だろうがT字型エンジニアに自画自賛でも到達しつつある…と思いきや,どうも世間ではT字型エンジニアでもダメで,Π字型エンジニアとかH字型エンジニアとかが求められるらしい.
なんてこった.
ネットで調べると,以下のようだ.
- Π字型エンジニアは,専門領域が二つ以上で幅が広く,複雑な課題を解決できるエンジニアらしい.
- H字型エンジニアは,専門領域が一つで他の専門性を持つエンジニアと繋がる横棒(橋渡し)ができるエンジニアらしい.
大変な時代になったものだ.28年前の制御分野(ソフト)は,まぁ普通にI字型を目指していれば飯は食えたが,今やT字型でも時代遅れでΠ字型やらH字型が求められるらしい.
若手エンジニアが不憫だ
エンジニアは,どのような分野であれ,I字型一つ目指すのも大変だ. 探求すればするほど,そこには高い山があり,その山をヒイコラ登ると,更にはまた高い山がある.
一つの分野で専門性を獲得するのも大変なのだが,世間ではどうもそれだけでは不足しているらしい.
これでは,若手エンジニアは,始めの一歩すら踏み出すのに戸惑うだろう. また,実際のところ,Π字型やらH字型が求められても,ベテランエンジニアにそれを見極める能力がなければ,その若手エンジニアが本当にΠ字型やらH字型の素養・実績があるか分からないだろう.
結果,若手技術者は一歩を踏み出すことすら躊躇し,それでも踏み出す若手エンジニアを適正に評価・指導できるベテランエンジニアもいない.
まぁ,これが時代の変化なのだと言われれば,その通りなのだろうが,それにしても求めすぎのようにも思う.
エンジニアは神ではない.ただ,ウデ(技量)があるだけだ. エンジニアであろうがなかろうが,1日の時間はみな等しく24時間だ.誠実なエンジニアは,寝る間も惜しんで自らに課した技術向上に務める.
私はそれで良いと思う.エンジニアは自らの技量を拠り所とすべきだろう.
若手エンジニアに伝えたいこと
3月か4月になれば,新人エンジニアが期待と不安の中で会社に勤務するだろう. その中で,理想のエンジニア像を思い描く,あるいは理想のエンジニアについて訓示を受けるかも知れない.
自分で良いと思うものは実践すると良いが,私が言えるのは,「まずは目の前の顧客の信頼を得るべく,目の前の仕事を精一杯こなしてください」と言うことだ.
私は社会に出てから28年間,師匠も無くソフト開発をしてきた.しかし,今になって思うのは,顧客が最も大切なことを教えてくれる先生だったなぁとも思う.
始めは,I字型にもならない,・字型のエンジニアからのスタートかも知れないが,それに不安を持つ必要はなく,顧客からの信頼を得ることに最大限努めて欲しいと思う.
安心してほしいのは,誰しも始めは初心者からで,偉そうなことを言うベテランエンジニアも,果たして本当にΠ字型やらH字型に到達しているかと言えば,それは極々少数に限られるということだ.
ベテランエンジニアに伝えたいこと
もし,我々ベテランエンジニアが,経験や位にあぐらをかき,日々の鍛錬を怠っているとすると,もしかすると今日の人材不足を招いているのは,我々ベテランエンジニアなのかもしれない.